サルコペニアリスクの非高齢成人にデジタル健康介入は有効か?

この記事の要点

  • 日本語タイトル:サルコペニアリスクの非高齢成人にデジタル健康介入は有効か?
  • 英語タイトル:A Systematic Review of Digital Health for Non-older Adults with Risk of Sarcopenia.

ここで取り上げる「サルコペニア」は、加齢などが原因で筋肉の量や力が落ちてしまう状態(筋肉量減少症)を指します。この記事では、リハビリテーション科や整形外科の外来でよく話題になる内容を、できるだけ専門用語をかみくだいてお伝えします。

目次

研究の背景・目的

サルコペニアになりかけている「サルコペニア予備群」の方は、高齢者だけでなく、若い世代から中年の方にもいるとされています。このような方では、日ごろから運動を続けて、身体を動かす量を保つことが大切と考えられています。最近は、スマートフォンのアプリやオンラインで行う運動プログラムなど、インターネットやデジタル機器を使った健康づくり(デジタル健康介入)が注目されており、その効果を確かめることがこの研究の目的です。

調査の方法(対象など)

高齢者ではない成人のうち、サルコペニアになる危険性がある人を対象に調査が行われました。研究の方法としては、「ランダム化比較試験(Randomized Controlled Trial、無作為化比較試験)」と呼ばれる、治療法の効果を調べるうえで信頼性が高いとされる研究だけを集めています。これらの研究をまとめて分析する「システマティックレビュー(系統的文献レビュー)」と「メタ解析(複数の研究結果を統合して統計的に解析する方法)」が行われました。

研究の結果

デジタル健康介入を行った結果、手で物を握る力(握力)や、椅子から立ち上がる動作、歩く速さが良くなる傾向がみられました。また、歩行の安定性を評価する「Dynamic Gait Index(DGI、動的歩行指数)」や、椅子から立ち上がって一定距離を歩いて戻るまでの時間を測る「Timed Up-and-Go(TUG、起立歩行テスト)」といった検査の成績も改善していました。一方で、太ももなど下肢の筋力そのものや、筋肉の量がどれくらい増えたかについては、はっきりとした増加があるとは言い切れない結果でした。

結論:今回の研究でわかったこと

今回まとめられた研究からは、デジタル健康介入は、筋力全体と歩く能力を「中等度」と表現される程度には改善させる可能性があるとされています。ただし、筋肉の量そのものや、下肢の筋力がどれくらい増えるかについては、現時点では十分な証拠がそろっていないと判断されています。

実際の診察ではどう考えるか

診察の場では、スマートフォンアプリやオンライン運動などのデジタル健康介入は、通院が難しい方や、運動を続ける意欲(モチベーション)の維持が課題となっている、非高齢のサルコペニア予備群の方に対して、対面で行うリハビリテーションと組み合わせて使う「補助的な道具」として活用することが考えられます。


参考文献


※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。

この記事の執筆者プロフィール


Yoリハビリ整形外科 院長 佐藤洋一

  • 日本整形外科学会認定 専門医
  • 日本リハビリテーション医学会認定 専門医

経歴

  • 東海高等学校 卒業
  • 三重大学医学部医学科 卒業
  • 名古屋第二赤十字病院 初期研修
  • 名古屋大学整形外科学教室 入局
    • 名古屋第二赤十字病院、蒲郡市民病院、JCHO東京新宿メディカルセンター
    • 骨折治療・人工関節(TKA、THA)・骨粗鬆症を中心に従事。
  • 専門機関における勤務
    • 足と歩行のクリニック(米国式足医療)
    • 善常会リハビリテーション病院(脳神経リハビリ)
    • もり在宅クリニック(在宅医療)
    • スマートクリニック、元八事整形外科形成外科(一般整形外科、再生医療)
  • SBI大学院大学 経営学修士(MBA) 修了予定
  • Yoリハビリ整形外科 開院予定

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