この記事の要点
- 日本語タイトル:フレイル高齢者では運動に高たんぱく補給を足すと歩行能力や筋力はどれほど改善する?
- 英語タイトル:Mobility and strength training with and without protein supplements for pre-frail/frail older people with low protein intake: maximising mobility and strength training (MMoST) feasibility randomised controlled trial.
ここで取り上げる内容は、リハビリテーション科や整形外科の外来でよく問題になるテーマです。
専門的な医学用語も出てきますが、できるだけ日常の言葉に置きかえて、ゆっくり説明していきます。
研究の背景・目的
高齢の方で「フレイル(Frailty:加齢に伴って筋力や体力、気力などが弱ってきた状態)」になると、歩くのがつらくなったり、筋力が落ちて転びやすくなったりすることが問題になります。
そのような方の多くは、食事からとるたんぱく質(筋肉や体をつくる栄養)が足りていないことも分かっています。
この研究では、
「運動だけを行った場合」と「運動に加えて高たんぱくの補給(プロテインサプリメント)を足した場合」で、歩く力や筋力などの体の機能がどのくらい変わるかを比べて調べました。
調査の方法(対象など)
対象になったのは、60歳以上で「プレフレイル(Pre-frailty:フレイルの一歩手前の状態)」またはフレイルの方です。
その中でも、歩くのが難しい、歩く速さが遅いといった歩行の問題があり、さらに日頃の食事でたんぱく質の摂取量が少ないと判断された20名が参加しました。
参加者全員が、週2回の頻度で、合計24週間(約6か月間)のトレーニング(歩行や筋力トレーニングなど)を行いました。
そのうち一部の方には、プロテインサプリメント(Protein supplement:粉末などの形でたんぱく質を補う栄養補助食品)を使って、高たんぱくの補給もあわせて行いました。
研究の結果
運動にプロテインサプリメントを組み合わせたグループでは、運動だけを行ったグループと比べて、すべての臨床アウトカム(Clinical outcome:歩行能力や筋力など、治療の結果として評価する指標)で、より良くなる方向の変化がみられました。
具体的には、SPPB(Short Physical Performance Battery:短縮版身体機能評価バッテリー。立ち上がりや歩行などを点数化して体の動きやすさを評価する検査)の点数が、平均で+0.93点上がりました。
また、6分間歩行距離(6-minute walk test:6分間でどれだけの距離を歩けるかを測る検査)も伸びる結果となりました。
ただし、統計学的に「はっきり差がある」とまでは言えない、有意差は示されなかったという段階の結果でした。
結論:今回の研究でわかったこと
運動に高たんぱくの補給を組み合わせると、体の機能を表す指標が全体として良くなる方向にそろって動いていることが示されました。
一方で、この研究は参加者の人数が少ない小規模な試験であり、統計学的に明らかな差(有意差)までは確認されていない段階の知見とされています。
実際の診察ではどう考えるか
フレイルの高齢の方に対して、週2回の運動トレーニングと高たんぱくの補給(プロテインサプリメントなど)を組み合わせる方法は、実際に行うことが可能そうであることが示されています。
また、このような組み合わせの介入によって、歩行能力や筋力などの機能が良くなる方向に向かう可能性がうかがえる結果でした。
参考文献
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Mobility and strength training with and without protein supplements for pre-frail/frail older people with low protein intake: maximising mobility and strength training (MMoST) feasibility randomised controlled trial.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41500629/
※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。

