この記事の要点
- 日本語タイトル:急性期脳梗塞の早期リハにERASバンドルは有効か?
- 英語タイトル:Application of an ERAS-based care bundle strategy in early rehabilitation care of patients with acute ischemic stroke.
ここで取り上げる内容は、リハビリテーション科や整形外科など、日常診療でもよく関わるテーマです。
専門的な医学用語も出てきますが、できるだけかみくだいて、普段の外来でお話しするような言葉で説明していきます。
結論からお伝えします(今回の研究でわかったこと)
急性期の脳梗塞(急性期脳梗塞:発症して間もない時期の脳の血管が詰まるタイプの脳卒中)の患者さん120人を対象にしたランダム化比較試験(Randomized Controlled Trial、RCT:治療法をくじ引きのように分けて公平に比べる研究)で、ERAS(Enhanced Recovery After Surgery、術後回復強化:もともと手術後の回復を早めるために考えられた包括的なケアの考え方)に基づいた「ケアバンドル(care bundle:いくつかのケアをセットにして一緒に行う方法)」を行ったグループは、通常のケアを受けたグループと比べて、神経学的な予後(脳のダメージによる症状の経過)や、飲み込み(嚥下)、ことば(言語)、筋力、気分や心の状態(メンタル)、合併症の起こり方が統計的に有意に良くなっており、急性期からのリハビリテーションに役立つ可能性が示されたと報告されています。
この結果は何を意味するのか
対象となったのは、急性虚血性脳卒中(acute ischemic stroke:脳の血管が血のかたまりなどで詰まり、脳の一部に血液が行きにくくなるタイプの脳卒中)の患者さん120人で、ランダム化比較試験という方法で、ERAS(Enhanced Recovery After Surgery、術後回復強化)の考え方に基づいたケアバンドルを受けるグループと、従来どおりの通常ケアを受けるグループに分けて比べています。
ERASに基づくケアバンドルのグループでは、発症して早い段階から、リハビリテーション(体を動かす練習や日常生活動作の練習)、栄養管理、飲み込み(嚥下)の評価と訓練、心理的なサポートなどを、ばらばらではなく包括的に、まとまりとして実施していたという内容です。
注意点・限界
機能の回復については、神経学的な障害の程度を評価する指標であるNIHSS(National Institutes of Health Stroke Scale、米国国立衛生研究所脳卒中スケール:麻痺やことば、意識状態などを点数化して脳卒中の重さをみる検査)と、日常生活の自立度をみるmRS(modified Rankin Scale、改訂ランキンスケール:どのくらい介助が必要かを0〜6段階で評価する指標)が、ERASに基づくケアバンドルを受けたグループでより大きく低下しており、つまり障害の程度がより軽くなっていました。
また、筋力やことばの機能、飲み込み(嚥下)機能についても、より良いグレード(高いレベル)まで回復した人の割合が、ERASグループのほうが統計的に有意に多かったとされています。
実際の診察ではどう考えるか
急性期の脳梗塞の患者さんに対しても、ERAS(術後回復強化)の考え方を応用して、いくつかのケアを束ねた形で早期から包括的なリハビリテーションを取り入れ、飲み込み(嚥下)と栄養管理、筋力トレーニング、言語訓練、心理的なサポートを同時並行で進めていく戦略が、将来の経過(予後)の改善や、合併症(肺炎や深部静脈血栓症などさまざまな問題)の予防に役立つ可能性があると考えられます。
参考文献
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Application of an ERAS-based care bundle strategy in early rehabilitation care of patients with acute ischemic stroke.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41460265/
※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。

