重症COVID-19患者への早期リハは人工呼吸期間や入院期間を短縮しうるか?

この記事の要点

  • 日本語タイトル:重症COVID-19患者への早期リハは人工呼吸期間や入院期間を短縮しうるか?
  • 英語タイトル:Rehabilitation in critically ill patients with COVID-19 infection: A systematic review and meta-analysis.

ここで取り上げるのは、リハビリテーション(Rehabilitation、病気やけがのあとに体や生活機能を回復させるための訓練)や、整形外科の診療でもよく関わってくるテーマです。
専門的な医学用語も出てきますが、できるだけ日常の言葉に置きかえながらお話ししていきます。

目次

結論からお伝えします(今回の研究でわかったこと)

今回の研究では、証拠としての確実さは「非常に低い」と評価されていますが、いくつかの職種がチームになって行う機能訓練(多職種による機能訓練)と、呼吸のリハビリテーション(呼吸リハ:呼吸を助けるための体操や訓練など)を行うことで、人工呼吸の期間と入院している期間が、どちらも少し短くなる可能性があると示されています。

この結果は何を意味するのか

対象となったのは、重症のCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)で入院している成人の患者さんです。
全部で68本の研究がまとめられており、合計23,630人の患者さんのデータが集められました。そのうち31本の研究では、どのようなリハビリを行ったかが具体的に書かれていました。
そのリハビリの内容としては、約7割の研究で「モビリティ中心プログラム」が行われていました。モビリティとは、ベッド上で体を起こしたり、座ったり、立ったり、歩いたりといった「体を動かす力・動きやすさ」のことで、これを中心にしたリハビリが多く実施されていた、という意味です。

注意点・限界

人工呼吸の期間については、RCT(Randomized Controlled Trial、ランダム化比較試験:患者さんを無作為にグループ分けして治療法を比べる、信頼性が高いとされる研究方法)2本で評価されていました。
これらの研究では、多職種によるリハビリと呼吸リハに加えて、ベッドサイクリング(ベッドに取り付けたペダルをこぐような運動)やティルトテーブル(体を少しずつ起こしていく専用のベッド)を組み合わせて行うことで、人工呼吸の期間が平均して約2〜3日ほど短くなる可能性が示されています。
ただし、研究の質や条件にばらつきがあり、結果の信頼性は高くないと評価されているため、「必ず短くなる」とまでは言えない点に注意が必要です。

実際の診察ではどう考えるか

今回の研究から得られたエビデンス(Evidence、医学的な根拠)は「非常に低い」とされていますが、それでも、重症のCOVID-19患者さんに対して、命を守る治療と同時進行で、できる範囲から早めに多職種によるリハビリ介入を検討することには、一定の意味があると考えられます。
実際の現場では、患者さんの全身状態や安全性をよく確認しながら、どのタイミングで、どの程度のリハビリを行うかを、医師・看護師・理学療法士などのチームで相談して決めていくことになります。


参考文献


※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。

この記事の執筆者プロフィール

Yoリハビリ整形外科 院長 佐藤洋一

  • 日本整形外科学会認定 専門医
  • 日本リハビリテーション医学会認定 専門医

経歴

  • 東海高等学校 卒業
  • 三重大学医学部医学科 卒業
  • 名古屋第二赤十字病院 初期研修
  • 名古屋大学整形外科学教室 入局
    • 名古屋第二赤十字病院、蒲郡市民病院、JCHO東京新宿メディカルセンター
    • 骨折治療・人工関節(TKA、THA)・骨粗鬆症を中心に従事。
  • 専門機関における勤務
    • 足と歩行のクリニック(米国式足医療)
    • 善常会リハビリテーション病院(脳神経リハビリ)
    • スマートクリニック、元八事整形外科形成外科(一般整形外科)
    • もり在宅クリニック(在宅医療)
  • SBI大学院大学 経営学修士(MBA) 修了予定
  • Yoリハビリ整形外科 開院予定

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次