この記事の要点
- 日本語タイトル:舟状骨骨折のエリート選手は手術後いつ競技復帰可能か?
- 英語タイトル:Navicular fractures in elite athletes-2025 international foot and ankle sports consensus and systematic review.
ここでは、足の甲の真ん中あたりにある「舟状骨(navicular、足の甲の中央付近にある小さな骨)」の骨折について、特にトップレベルのアスリートを対象にした研究をもとにお話しします。
リハビリテーション(rehabilitation、けがや病気からの回復を助ける訓練や治療)や整形外科(orthopedics、骨・関節・筋肉など運動器の病気を扱う診療科)の外来で、実際によく問題になるテーマです。
専門的な内容ですが、できるだけ日常の言葉に置きかえて説明していきます。
結論からお伝えします(今回の研究でわかったこと)
この研究では、エリートレベルの選手が舟状骨骨折に対して手術を受け、その後に標準化されたリハビリテーション(あらかじめ決められた流れに沿って行うリハビリ)を行うと、平均して術後8.2週ごろから競技への復帰を始めていたと報告されています。また、約98.7%の選手が何らかの形で競技に戻れていました。治療計画を立てるときには、「術後4〜6週間は足に体重をかけない期間をとること」と、「術後4〜6か月くらいで元のレベルの競技にフル復帰すること」を大まかな目安として考えることが大切とされています。
この結果は何を意味するのか
■ エビデンス(evidence、医学的な根拠)概要
この研究では、舟状骨骨折を起こした319人のアスリートを対象にデータをまとめて解析しています。治療の中心は手術で、そのうえで治療やリハビリの進め方について、34項目のコンセンサス(consensus、専門家同士で話し合って決めた合意事項)が作られました。舟状骨骨折に対して、国際的に共通して使える「標準的な考え方の枠組み(フレームワーク)」を初めて示した点が、この研究の特徴とされています。
注意点・限界
■ 競技復帰(RTS)の実際
ここでいうRTS(Return to Sport、競技復帰)とは、「まったく運動していない状態から、再びスポーツに戻ること」を指します。手術を受けた選手では、平均すると術後8.2週ごろからRTSが始まっていました。競技に戻れた人の割合は98.7%と高い数字でしたが、これはエリート選手を対象にした結果であり、すべての方にそのまま当てはまるとは限りません。
また、「フルスポーツ復帰」とは、けがをする前と同じレベルで競技ができる状態を指し、その目安は術後4〜6か月とされています。この研究では、「早い時期に練習や軽い参加を再開する段階」と、「完全に元のレベルに戻る段階」を分けて説明している点も重要とされています。
実際の診察ではどう考えるか
舟状骨骨折は、足の甲の痛みとして現れることが多く、レントゲン写真だけでは見つかりにくい場合もあり、見逃されやすい骨折の一つとされています。ただし、エリート選手のように競技レベルが高い方では、早い段階で正しく診断し、手術と標準化されたリハビリプロトコル(protocol、手順書や治療の流れ)を組み合わせることで、高い割合で競技に戻れていたと報告されています。
診察の場では、「術後4〜6週間は足に体重をかけない期間が必要になりやすいこと」と、「術後4〜6か月くらいで元のレベルの競技にフル復帰することを一つの目安とすること」を、患者さんと共有しながら、個々の状況に合わせて相談していくことが大切になります。
参考文献
- Navicular fractures in elite athletes-2025 international foot and ankle sports consensus and systematic review.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41451754/
※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。

