ACL再建後リハはオンラインと対面で差があるか?

この記事の要点

  • 日本語タイトル:ACL再建後リハはオンラインと対面で差があるか?
  • 英語タイトル:The efficacy and cost-effectiveness analysis of telerehabilitation for patients after arthroscopic ACL-reconstruction: a non-inferiority randomized controlled trial.

ここで取り上げるのは、前十字靱帯(ぜんじゅうじじんたい:Anterior Cruciate Ligament/ACL)という膝の中の靱帯を、関節鏡(かんせつきょう:小さなカメラを膝に入れて行う手術)で再建したあとに行うリハビリテーションについての話です。
ふだんの整形外科診療やリハビリの現場でもよく出てくるテーマなので、専門用語はできるだけかみくだいて説明していきます。

目次

結論からお伝えします(今回の研究でわかったこと)

この研究では、ACLを関節鏡で再建したあと12週間のあいだ、リハビリの方法を比べています。
オンラインで行うリハビリ(テレリハビリテーション:telerehabilitation、ビデオ通話などを使って自宅などから受ける遠隔リハビリ)と、病院や施設に来て行う対面リハビリを比べたところ、膝の機能の回復はほぼ同じ程度でした。
一方で、かかった費用の合計は、オンラインのほうが約3割ほど低いという結果でした。

この結果は何を意味するのか

対象となったのは、ACL再建手術を受けた68人の患者さんです。
この方たちを、オンラインで行うテレリハビリテーション(telerehabilitation、遠隔リハビリ)を受けるグループと、従来どおり対面でリハビリを受けるグループに分けて、どちらが良いかを比べる「ランダム化比較試験(Randomized Controlled Trial/RCT:公平にグループ分けして効果を比べる研究)」という方法で調べました。
手術後12週までのあいだ、「IKDC主観的膝機能スコア(International Knee Documentation Committee subjective knee form:患者さん自身が感じている膝の調子を点数化したもの)」などを使って、膝の機能を評価しています。

注意点・限界

手術から12週たった時点で、IKDCスコア(患者さん自身が答える膝の状態の点数)には、オンラインと対面のグループで大きな差はみられませんでした。
痛みの強さ、膝の曲げ伸ばしの範囲(可動域)、その他の機能の評価も、両方のグループでだいたい同じ程度でした。
このことから、少なくとも手術後の短い期間(12週間)に限ってみると、オンラインのリハビリは、対面のリハビリと比べて劣っているとはいえない、という結果になっています。
ただし、この研究はあくまで12週間という短期の結果であり、それより先の長い期間については、この研究だけでは判断できないという点には注意が必要です。

実際の診察ではどう考えるか

ACL再建手術のあと、手術からしばらくのあいだ(短期のフォロー期間)については、膝の機能回復を保ちながら、医療費や通院にかかる負担をある程度おさえる方法のひとつとして、オンラインのリハビリを選択肢に入れてみる価値があると考えられます。
実際にどの方法が合うかは、膝の状態や生活環境によって変わりますので、主治医やリハビリスタッフと相談しながら決めていくことが大切です。


参考文献


※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。

この記事の執筆者プロフィール


Yoリハビリ整形外科 院長 佐藤洋一

  • 日本整形外科学会認定 専門医
  • 日本リハビリテーション医学会認定 専門医

経歴

  • 東海高等学校 卒業
  • 三重大学医学部医学科 卒業
  • 名古屋第二赤十字病院 初期研修
  • 名古屋大学整形外科学教室 入局
    • 名古屋第二赤十字病院、蒲郡市民病院、JCHO東京新宿メディカルセンター
    • 骨折治療・人工関節(TKA、THA)・骨粗鬆症を中心に従事。
  • 専門機関における勤務
    • 足と歩行のクリニック(米国式足医療)
    • 善常会リハビリテーション病院(脳神経リハビリ)
    • もり在宅クリニック(在宅医療)
    • スマートクリニック、元八事整形外科形成外科(一般整形外科、再生医療)
  • SBI大学院大学 経営学修士(MBA) 修了予定
  • Yoリハビリ整形外科 開院予定

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