この記事の要点
- 日本語タイトル:慢性腰痛女性で筋膜リリース併用ピラティスは痛み改善に有効か?
- 英語タイトル:Improving muscle function and quality of life in women with chronic low back pain through combined self-myofascial release and Pilates: A randomized clinical trial (CONSORT).
ここで取り上げる内容は、リハビリテーション(けがや病気のあとに行う機能回復のための治療)や整形外科(骨・関節・筋肉などを診る診療科)の外来で、よく問題になる「慢性腰痛」のお話です。
できるだけ専門用語をかみくだいて、普段の診察室でお話しするような形で説明していきます。
研究の背景・目的
慢性腰痛(3か月以上続く腰の痛み)は、特に女性では、日常生活で動きにくくなったり、仕事や家事・趣味が制限されたりして、「生活の質(クオリティ・オブ・ライフ:生活の満足度や快適さ)」を下げてしまう慢性的な病気とされています。
ピラティス(体幹の筋肉や姿勢を整えることを目的としたエクササイズ)と、セルフ筋膜リリース(Self-myofascial release:自分で行う、筋肉を包む膜〈筋膜〉や筋肉をほぐすケア)を組み合わせると、どのくらい追加の効果があるのかは、まだはっきりしていません。
そこで、この研究では、ピラティスにセルフ筋膜リリースを組み合わせた場合に、痛みや筋肉の働き、生活の質がどの程度よくなるのかを確かめることを目的としました。
調査の方法(対象など)
この研究では、慢性腰痛のある女性を対象にしました。
参加した方をくじ引きのような方法で2つのグループに分ける「ランダム化(randomization:偏りを減らすための分け方)」を行い、
1つのグループには「セルフ筋膜リリースを組み合わせたピラティス」、もう1つのグループには「ピラティスだけ」を行ってもらいました。
どちらのグループも、6週間にわたって運動プログラムを続け、その前後で
・痛みの強さ
・筋機能(筋肉の働き方や硬さなど)
・生活の質(クオリティ・オブ・ライフ)
を評価しました。
研究の結果
6週間の運動のあと、どちらのグループでも、痛みが軽くなり、筋肉の働きや生活の質がよくなる変化がみられました。
そのうえで、セルフ筋膜リリースを組み合わせたグループのほうが、ピラティスだけのグループと比べて、
・痛みの減り方がより大きかったこと
・筋硬度(筋肉の硬さ)がよりよく改善していたこと
が示されました。
この差は、数字の上だけでなく、実際の診療の場でも意味があると考えられる程度の差と報告されています。
結論:今回の研究でわかったこと
この研究の結果から、セルフ筋膜リリースを組み合わせたピラティスは、ピラティスだけの場合と比べて、痛みや筋硬度(筋肉の硬さ)をよりよく改善する可能性が高いと考えられました。
ただし、あくまでこの研究に参加した慢性腰痛の女性を対象とした結果であり、すべての方に同じような効果が出るとは限らない点には注意が必要です。
実際の診察ではどう考えるか
慢性腰痛のある女性に対しては、ピラティスにセルフ筋膜リリースを組み合わせることで、比較的短い期間でも、痛みや筋硬度の改善がより大きくなることが期待できると考えられます。
一方で、実際の診察では、腰痛の原因や体力、ほかの病気の有無などを総合的に見て、どの運動療法が合っているかを個別に判断する必要があります。
参考文献
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Improving muscle function and quality of life in women with chronic low back pain through combined self-myofascial release and Pilates: A randomized clinical trial (CONSORT).
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41517716/
※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。

